いろいろ書いたらまとまらなくて変なタイトルになってしまいましたが、とりあえずフリースタイルを作るということへの興味が湧いた方は読んでみてください。
練習会に行ったり、ヨーヨーのビデオをよく見たりしていると、ほぼ必ず「フリースタイル」のシーンを見ることがあるはずです。
フリースタイルとは「制約を少なく、もしくは取り払った」状態で行うもの・ことを意味し、競技においては、もともと存在する形態よりも自由度が増したものを指します。レスリングや競泳、バスケットボールなどで耳にすることが多いはずです。
ヨーヨーにおいては「音楽にあわせ、自由に演技する」が定義として認識されており、1997年頃までは規定トリックの成功率を競い合うことが主流でしたが、ヨーヨーやプレイヤーの技術の発展と共に、多くのトリックが生まれ、多くの人はトリックを習って終わる時代から、多くの人もトリックを作る時代に変わっていきました。そうしてトリックが生まれる速度が大会のペースに追いつかなくなってから、フリースタイル競技が主流となっていったのだと思われます(あくまで推測です)。
さて、こうも周りがフリースタイルをしていると、自分もなんだかフリースタイルをやってみたいと思ったりしないでしょうか。そうでなくとも、どうやってフリースタイルってやるんだろうって興味は湧いたりしないでしょうか。
そうなることはとても自然です。その流れで、最近は競技選手に「フリースタイルってどうやって作るんでしょうか」と聞きにいく人、もしくは聞かれる人というのは少なくないはずです。
もちろん、自分で気ままに好きな音楽を探して、気ままにやってみるとスタートできる人だって居らっしゃると思いますが、こう聞きにいく人は、ほとんどが大会に出るためにフリースタイルを作ろうとしているのではと思います。
大会に出る理由は「友だちが出るから」「単に興味があるから」「一度はやってみたいと思ったから」「実力を試してみたいから」「自分が一番上手いことを証明したいから」などさまざまでしょう。でもいざ作ろうとすると、何からどう手を付けていいのかわからない、という人は結構居ます。私もその一人でした。
というわけで、このコラムではフリースタイルの作り方を指南……と言いたいところですが、ちょっとだけ趣旨を変えた回答をしてみます。
そもそもフリースタイルとは「自由型」を意味します。言葉だけ見れば、ものすごく極端に言ってしまうと「音楽流しながら勝手にヨーヨーやっとれ」くらいの感じですね。いきなりそう言われても……と思うかもしれませんが、フリースタイルの発端は、ここからなんです。
ある程度ヨーヨーの扱いになれてくると、何気なくかかっていたBGMにあわせてヨーヨーを動かしてしまったことはありませんか。そうでなくとも、頭のなかで自分や誰かのフリースタイルが思い浮かんだりしませんか。まったくイメージができない人は、ほとんど居ないのではと思います。
なんとなくヨーヨーの動きが音楽に合ったときの小さな嬉しさ、何気ない心地良さ、そして驚きが、後の自分のフリースタイルというものにつながっていくのです。
そんな「兎にも角にも、まず一歩目は好き勝手やってもらうのがいいんじゃないだろうか」という話を聞いて、私は初心者の方に対し、自分から積極的にフリースタイルの組み方を教えることはしなくなりました。そうすることで、自然と自分からフリースタイルが生まれていく「流れ」や「クセ」「習慣」がついていき、「自分らしさ」というのもついてきやすくなります。
そもそもフリースタイルの良し悪しなんてものは人の好みで大きくブレますし、自分が納得する形で取り組むのが一番です。
だから私は、これからフリースタイルを作るという方に作り方を尋ねられた時は、「まず好き勝手に組んでみてください」と言います。メチャクチャでいい、(悪い意味の)テキトーでもいい、あこがれの人の真似でもいい、知ってるトリックを順番にやるだけでいい、よくわかんないけど勝ちたい、なんでもいいんです。フリースタイルなんて自分が楽しけりゃいいし、「自分が楽しいことから始まる」くらい思ってていいんです。
やりたいようにやって、好きなように楽しんで、ヨーヨーの新たな魅力を知れば十分。もし競技会で勝ちたいとか、いろいろな表現をしたいとか、いろんな人に評価されたいとか、新たに課題が生まれてきた時、初めてその人に手を差し伸べるべきなのでは、と思います。
そうしてフリースタイルをガムシャラにする、ということを繰り返しているうちに、自分だけのフリースタイル、フリースタイルの作り方が出来上がっていくはずです。
時折、私を含め、何人かのヨーヨープレイヤーは、ヨーヨーをペンに例えます。ペンから生まれる絵や文字は、人によって姿形を変え、それがその人の個性として育っていきます。ヨーヨーも同じで、その人が生んだトリックだけでなく、扱い方や細かいクセ、動作までもが、その人だけのものになります。割と真面目に、ヨーヨーの軌跡が指紋認証や筆跡のような役割を果たすことすら可能だと思うのです(なんの役に立つかは知りませんが)。
それがフリースタイルにも同じことが言える、というだけなんです。
音楽にあわせて体とヨーヨーが勝手に動くようになると、ヨーヨーってもっと面白くなりますよ。トリックの難易度は跳ね上がるし、普段絶対しないコントロールミスでケガするし、自分ってこんな運動できなかったっけって落ち込みますし。だからヨーヨーって難しいって思いますし、楽しいとも思えます。何がおもしろいのかわかんない人も居ますが、そんな人もなんだかんだでフリースタイルでヨーヨーを楽しんでたりします。不思議なものです。
前項でも少しふれましたが、フリースタイルをやってみると、ヨーヨーの違う楽しみ方が見えたり、落ち込んだりケガしたりするかもしれません。ただ、おそらくほぼすべての人に共通する変化が「フリースタイル競技に出ている人の見方が変わること」です。
一度でもフリースタイル競技に出たことがある人はわかると思いますが、緊張で手がブルブルになって、普段絶対失敗しないようなトリックでミスしたり、礼をすることすら精一杯だし、顔なんて上げたら死にそうだなんて思いをしませんでしたか。そんな経験をした後は、なんであんなに冷静にトリックができるのか、立っていられるのか、笑っていられるのか、歩けるのか、ポーズが取れるのか。すべての現役のプレイヤーが些細に行っていたこと全部に感動するようになります。
そして、それがそのまま次の目標へシフトする人が多く居ます。一個のトリックの習熟度に対する意識が変わります。10回中1回決まるのではいけない、止まっていても歩きながらでも、明るいところでも暗いところでも、縦にも横にも動きながらでも、10回中10回決まるようにとか。今度は姿勢に気を配ってみたりとか。そんな自分にとって思いがけない変化を遂げることは、珍しくありません。
そんな変化によって、ある種のヨーヨーのスキルアップにもつながっているのです。
滾々と書いてきましたが、だからといってフリースタイルは(当然ながら)強制ではありません。フリースタイルという経験の後、逆に自分にはフリースタイルという形式はあわないと感じる方も居るでしょう。そもそも興味がなければやらないでしょうし、ヨーヨーの楽しみ方なんて、トリック製作でもモッズ(改造)でも映像製作でも、他にいくらでもあります。ただ、フリースタイルは楽しいですよということは、強く推しておきます。
フリースタイルや競技に固執するあまり、ヨーヨーをやることに疲れてくることさえあります。そんな時は、初めてフリースタイルに取り組んだ時や、テキトーに音楽に合わせてた時の楽しい感覚を思い出してください。ワイワイやるなり、自分がひたすら楽しいなりで良し。どうしても楽しくないなら一歩引くも良し。でも、思い通りにフリースタイルが出来た時は死ぬほど嬉しいですよということは、強く推しておきます。もちろん結果もついてこれば言うことなしですけど。
現代のヨーヨーは、スポーツでありながらも、やはり娯楽・遊びの一つでもあります。プレイヤーはどちらに立ち返ることもできる、そんなところもヨーヨーの魅力ということで。
ガムシャラにやってみて楽しむのはいいものの、やっぱり競技会に出たい!という方のために、ちょっと調べものというか、アンケートをしてきました。実際にどのくらいの時間をかければ、安心感をある程度もって臨めるものなのでしょうか。
というのも、この間Twitterにて「大会に参加するにあたってフリースタイルを完成させるまでの時間」を聞いてみました。大会日から~日前、という風に。
その結果、めちゃめちゃバラつきがあることを再確認しました。こんなところまでも自由。1年前から考え出す人もいれば、構成決めるのなら1時間もあればオッケーという方まで。もちろん環境やヨーヨーの歴によって、構成を覚えたりするための必要な時間は変わってきます。なので、あくまでも参考までに……ということをふまえて、だいたい皆さん2~3ヶ月前に練習して、1ヶ月前には反復練習を始めるという方が多いようです。もしフリースタイル競技に参加を検討している方は、これを参考に、時間に余裕をもってエントリーされることをオススメします。
ちなみに、日数だけを抽出して整理したら↓こんな感じになりました。
匿名で募集したので、当然ながらお名前は公開しません。Twitterで返信をくださいました皆さん、ありがとうございました!
1時間(構成決定に要する最短の時間)
2日前
3日前
3日前
5日前
1週間前
1週間前
1ヶ月前
1ヶ月前
1ヶ月前(構成を常に複数ストック)
1ヶ月前(ここまでに構成決定)
1~1ヶ月半前
1~1ヶ月半前
1~2ヶ月前
1~2ヶ月前
1~2ヶ月前
1~2ヶ月前(1ヶ月前に構成決定)
2ヶ月前
2ヶ月前
2ヶ月前
2ヶ月前
2ヶ月前(1ヶ月前に構成決定)
2ヶ月前(曲覚えて1ヶ月、技覚えて1ヶ月)
2ヶ月前(曲候補を出して1ヶ月前に構成決定)
2~3ヶ月前 ※城戸は大体この辺です。
2~3ヶ月前
2~3ヶ月前
2ヶ月~6ヶ月前
3ヶ月前
3ヶ月前
3ヶ月前
3ヶ月前
3ヶ月前(2ヶ月前に構成決定)
3ヶ月前(予選と決勝並列)
3~4ヶ月前(3ヶ月前に構成決定、ただし2週間前に変更もあり)
3ヶ月~5ヶ月前
4ヶ月前
6ヶ月前
6ヶ月前
6ヶ月前(大会後に仮構成を作る)
1年前
1年前
1年前
文:城戸慎也
http://yoyonews.jp/column/
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