ヨーヨーの練習会は、ヨーヨーを始めるきっかけになるだけでなく、来場者同士の意見交換の場となり、ヨーヨー仲間が増えるほか、モチベーションの維持や練習効率の向上、それにより地域のヨーヨーの活性化、人口拡充にもつながります。
また、あくまでヨーヨーは実習によってトリックを習得するものなので、映像や文章を見るだけでは、絶対に身につきません。逆に、それらを活用しながら、実際に手順を教わったり教えたりすることで、驚くべき早さで上達することができます。
人間は、教わるときと教えるときの成長は著しいそうです。
教わるときに基礎と概要を知り、教えるときに原理を知るワケですから、その後の応用もさせやすいということだそうです。
現時点で、競技ヨーヨーの人口というのは決して多いほうではありません。しかし、世間の予想をはるかに超えるくらいの数の練習会、つまりヨーヨーに関する集まりがあるのも事実です。もっとヨーヨーで楽しみたいならば、このシステムを活用しない手はありません。
というわけで、少しでも「もっと上手くなりたい」という方や、「身近にヨーヨーの友だちがほしい」という方は、お近くのヨーヨー専門店に行ってみたり、練習会に行くこと・練習会を開くことを強くオススメします。
なかには、行きやすいところに練習会がない、という方も多いでしょう。
そこで今回のコラムでは、自分なりの『練習会の始め方』を書いていきます。参考になれば幸いです。
まずはじめに、練習会を始めるためのステップは3つです。
1.主催メンバーを集める(1人以上~)
2.場所を探して日程を決める
3.参加者を募集する
たったこれだけで、練習会はスタートできます。
そもそも世にあるヨーヨーの練習会というものは、すべて「ボランティア・有志」の手によって開催されています。つまり、何人以上集まれば練習会だとか、そういう区別は一切ありません。
極端な話、私が練習会をやろうと思いたち(1)、近所の公園に行って(2)、友だちを呼んでヨーヨーをすれば(3)、それだけで練習会が成立するのです。
ちなみに、この順番は前後しても問題ありません。
すでに近場にヨーヨーを一緒にしている人がいるのであれば、その中から会場の手配や日取りを決める人を選び、その後どこで集まるか、という風になるでしょう。○○近辺で何人以上が集まれるのが確定したら会場を決めよう、というパターンだってあります。
もちろん、何が何でも近くでヨーヨーをやってる人を探しだすために、参加者の募集以外のすべてを自分一人でやりきってしまう方もいます。
ですが、せっかくならできるだけ大人数でワイワイやりたい、という方は多いかと思います。
そんな方のために、それぞれの項目について、練習会を活気づけるためのポイントを知っておきましょう。
1.主催メンバーを集める(1人以上~)
自分一人で開催するのも良いですが、複数人居るほうが円滑に運営できることが多いです。
例えば、練習会の日に急病や急用で主催者が参加できなくなった場合など。あらかじめ、初めて来た人にティーチングをする役を決めておくのも、役割分担になり良いでしょう。
また、代表者がチームになって段取りをすることで、会場の手配やルール制定についてもスムーズになります。
※つけておきたいルールについては後述します。
2.場所を探して日程を決める
ベストなのは、アクセスの良い公共施設を借りることです。
具体的には、駅に近いか(徒歩10分以内だと効果が高いです)、道路沿いなどわかりやすい場所にあり、(特にその地域の人に)知名度が高く、空調があり、広さのある屋内会場です。まずは10人程度がヨーヨーをできるスペースがあれば問題ありません。予算に上限がある場合は、できる限り安価であることも重要になってきます。初めて開催する際は、最悪、自分一人だけでもカバーできる料金が良いでしょう。
探す場所は、上記の条件を満たした部屋のある公民館・学習センター・体育館など。普段からダンスや格闘技などに開放している施設は、比較的理解を得やすいので、近場に心当たりがあれば、そういった施設からあたりましょう。インターネットで調べるのも良いですが、公民館などについては掲載がされていないこともあるため、身近な人(家族や近所の知り合い)に聞きこむ必要がある可能性があります。
あらかじめ、競技ヨーヨーがどういったものかを説明し、ある程度は床にキズがつく可能性があることを明示します。また、天井が低かったり、電灯がむき出しになっている会場は、避けた方が無難です。
どうしても公共交通機関から遠ざかってしまう場合、一番近い駅への集合時間を決めて、主催者が引率すると良いでしょう。また、自宅から近いほうが、定期的に開催するにあたりラクです。
未成年者の場合、公共施設を借りるのは難しいので、雨天中止としておき、広めの公園で集まるようにしたほうが良いかもしれません。ただしこの場合、雨季・夏季・冬季の開催は難しくなります。
現在はあり得ないと思いますが、ショッピングモールなどの商業施設に無断で集まるのは止めましょう。
3.参加者を募集する
方法はいろいろありますが、手っ取り早いのは「専用のサイトを作る」「チラシを配布する」の2つです。
サイトのポイントは、その練習会「専用」であることです。自分のサイトなりブログを持っている方は、その中に練習会のことも混ぜる方が多いですが、わかりやすく掲示して人を募集するならば、専用のサイトを開設するのがベストです。
また、チラシの配布では「ヨーヨー教室」というように、「(初めての人に)ヨーヨーを教えます」という内容にすると良いでしょう。こうすると、昔ヨーヨーに挑戦して挫折した人が集まったりと、思いのほか人数が集まることもあります。
専用のサイトができたら、当ブログ「ヨーヨーニュース」では告知・広報のお手伝いをしておりますし、日本ヨーヨー連盟「JYYF」では練習会リストに掲載も行っております。また、ヨーヨーニュースに報告された場合、全国ヨーヨー練習会マップにも掲載を行っております。ぜひご連絡ください。
まずは1人からスタートし、数回初めて5人も集まれば多い方です。いろんな練習会の様子を見ると、数十人居るのが当たり前のように思えてきますが、実際のところ1人~3人、多くても10人という練習会の方が圧倒的に多数です。人が集まらなくても、気長にのんびりと待ちましょう。
また、その他にも「開催するペース」が重要になってきます。コンスタントに人を集めたいのであれば、オススメは月1程度です。逆に毎週末(月4回)開催など回数が多いと、その月ごとの合計人数は増えますが、いつでも行ける環境になると、一度の開催での人数は減ります。そこは会場の大きさや、主催者の人数と相談すると良いでしょう。
公共施設を借りられず、屋外で開催する場合は、前述のとおり季節や天気によって定期開催は難しくなるので、「3月~6月・9月~11月のみ開催、雨天決行」などといったように、あらかじめ大まかに、来場者にスケジュールを把握してもらいやすいよう工夫することをオススメします。
さて、そうして人数が集まってくると、あまり考えたくないことですが、いろいろなトラブルが起きる可能性があります。
もっとも多いのは、施設の損傷です。少なくとも床にはヨーヨーが衝突する可能性があり、これも前述のとおり、あらかじめ施設側に断りを入れておくべきです。また、最悪の場合は物品の盗難もあり得ます。
以下は実際に日本各地の練習会で起きたことをふまえ提案したい、当サイトがオススメする『練習会のルール』です。
1.参加者は必ず、入場時に名簿へ名前・連絡先を記入する
事前に名簿を作っておくことで、非常時の連絡先が分かるだけでなく、当日来た人数の把握もしやすくなり、会場の広さとの相談もできます。名簿を取らないと、名前も知らないまま交流を続けることとなり、例えば外部からの参加者がその状態を知ったときは、決して良い印象は持たれないことでしょう。
また、希望者からメールアドレスも記入していただくことで、次回開催日や挨拶を配信するメーリングリストの制作も可能です。
2.未成年者は必ず、来場から退場まで保護者の同伴を義務付ける
未成年者、とくに自分自身での対処が困難な小学生くらいの子供が、何らかのトラブルを起こしてしまったり、巻き込まれたりした場合、保護者への連絡は必要不可欠です。
ついつい勢い余って走り回って転んだり、壁にぶつかったり、人と衝突したりということは、あまり珍しいことではありません。
習い事の感覚で、つまり代表者が監視を行うことが義務付けられている空間という感覚で、子供を預ける親御さんは多く居らっしゃいますが、あくまで有志開催である練習会においては、好ましい状況ではないでしょう。よって、必ず保護者が自身の子供の監視責任を務める、という決まりにしておいたほうが懸命です。
3.個人間取引を禁止する
いらないヨーヨー同士の交換や売買でのトラブルも、練習会でよく起きるものです。
これもとくに未成年者同士で多く発生します。軽はずみに取引をして、後で強引に取り止めを迫ったり、交換したものが壊れていたものであったり、価値に大きな差があるものを手に取らされたり(「シャークトレード」といいますが、恐喝・詐欺という立派な犯罪です)。
貴重な機会で、しかも負担が少なく新しいヨーヨーが手に入る場面ではありますが、厳しく監視やルールの制定ができない限り、禁止した方が無難です。
4.荷物の管理は、個々で徹底してもらう
ほとんどの施設の場合、ロッカーを併設していることは普通ありません。かといって、主催者側で荷物を管理するのは、とてつもない負担になります。その上で、ヨーヨーの練習会では、技を教え合っていたり、交流している間に、ついつい自分の荷物から離れてしまう方が多くいます。
ヨーヨーバッグを開けて出かけて、帰ってきたら中身が丸ごと盗られてしまっていた……普通そうはならないとしても、そのままではいつそんな事態になってもおかしくありませんので、荷物の管理は各自で徹底してもらいます。
最低でも、中身は毎回見えないように、必ず閉じるようにしてもらいましょう。
5.決まった時間に、(来場者を含め)全員が一度集合して主催者が挨拶をし、ルールについて確認する
主催者からの挨拶や、ルールの確認を、ある程度人が集まる時間帯にすると良いでしょう。会場によっては飲食禁止、食べ物禁止(飲み物はOK)といった取り決めがありますので、そういったルールの確認も兼ねます。また、(とくに)初めて来場した人のために、「基本ワザを教わりたい人は、そこの○○さんや○○さんへ、他の方もできるだけティーチングにご協力をお願いします」といった旨の確認をすると良いでしょう。
来場者が少ない場合は、全員で自己紹介(名前・年齢・住んでいる大まかな地域)。多い場合は、主催者と初めて来た方同士で自己紹介をすると、時間を最小限におさえ、誰でも入りやすい空間にしやすくなります。
当然ですが、これらの事柄や損壊の弁償や盗難については自己責任です。その際、これらの決め事をするだけで、対処のしやすさが大きく変わります。トラブル発生時に備え、できる限り工夫をすることで、平和に長く続けやすい、皆が通いやすい練習会になります。
ですが、始めたての頃はそこまで気を回すことも難しいですし、回数を重ねるうちに、その練習会にあったルールが出来上がるものですから、最低限注意しなければいけないことさえふまえたら、まずは数度やってみることをオススメします。
煮詰まったら、各ヨーヨー練習会のページを参考にするのも良いでしょう。
まず練習会は「主催者によるティーチングのみを行う(要するに「ヨーヨー教室」)」「ヨーヨー教室と練習場の2スペースがあわさった空間」「ティーチング無しの各自の練習スペースを開放」の3パターンに分かれることが多いです。もっとも多いのは「ヨーヨー教室と練習場の2スペースを用意」で、これから開催する方も、この様子をイメージする方が多いのではないでしょうか。
ここに「(とくに主催者と初めての方の)自己紹介」「会場ルール説明」「フリースタイルの時間」「ミニコンテスト」が付随します。また、練習会が終わったあとは、会場の近くで一緒に食事ということもありますが、ふだんは練習会のイベントとして行うよりも、時間のある方同士が集まる方が、堅苦しくなくて良いでしょう。
「自己紹介」「会場ルール説明」は必ずした方が良いかと思いますが、「フリースタイルの時間」は、どちらでも構いません。練習会によって希望者のみの場合もあれば、完全に無しとしている場合もありますし、逆に全員が必ずフリースタイルをするという場合もあります。
多くの練習会は昼~夕方(13時~17時)までとしていることが多いですが、4時間ヨーヨーを振り続けるとダレてくることもあるので、間にできるだけ多くの人が参加できたり、休憩時間にあてられる「ミニコンテスト」があると良いかもしれません。ロング・スリーパー耐久や、ループ・ザ・ループ耐久がオススメです。
基本的には、各自で交流してもらうことを主目的とし、主催者は全員とまんべんなくコミュニケーションを取れることが理想的です。また、初めて来場した人には、近い年齢の人や地域の人に交流の機会をもたせられると良いでしょう。
練習会の名前ですが、これも実は決まった付け方はありません。ただし混同を避けるため、事前に同じ名前や近い名前の練習会がないかをチェックする必要はあります。
一番つけやすい形は「地域名」+「練習会」ですが、コンセプトや主催者の名前になぞらえた、まったく地域と関連性のない名前の練習会も多くあります。
傾向としては、以下のようになっています。
■もっとも付けやすい形→「地域名」+「練習会」
例: 旭川練習会、横浜練習会
■幅広い年齢層、小中学生も多い印象→「地域名」+「ヨーヨークラブ」または「ヨーヨーサークル」など
例: 小松ヨーヨークラブ、津ヨーヨークラブ、ヤマトヨーヨーサークル
■ティーチングに精力的な印象→「地域名」+「スクール」など
例: 京都ヨーヨースクール
■種目をヨーヨーに限定している印象→「地域名」+「練習会」または「クラブ」などの前に「ヨーヨー」
例: いわくらヨーヨー練習会、美濃加茂ヨーヨー練習会、大阪府豊中ヨーヨー練習会
■「地域名」+「練習会」などを省略する→「○○練」「○○れん」
例: ちばれん(千葉県ヨーヨー練習会)、あきれん(秋田練習会)
■コンセプトや主催者などに由来する
例: 44FESTA、800YOYOCLASS、DionSpace、N8Night
■例外: ヨーヨーを教えることを専門とする→「○○ヨーヨー教室」
これらはあくまでイメージ、傾向です。親しみやすい名前をつけて、ぜひ多くの人に覚えてもらえるようにしましょう。
もちろん、人を多く集めるだけが練習会ではありません。気の合う仲間同士で気楽にヨーヨーで遊ぶ、マイペースに自分のやりたいときに開くなど、練習会の形は、人や地域によってさまざまです。
ぜひ自分だけの練習会を開いて、自分だけのやり方で練習会を楽しんでください。
最後に、全国の練習会のリスト、および開催地を日本地図で表示したものを掲載致します。練習会の開催にあたり、お役に立てれば幸いです。
制作:GIOY – 総合ヨーヨー情報サイト 協力:yoyonews.jp
より大きな地図で 全国ヨーヨー練習会マップ を表示
文: 城戸慎也
http://yoyonews.jp/column/
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