(本コラムはブログの動作確認を兼ねたテスト投稿です)
毎年世界大会は、アメリカのフロリダ州オーランドという街にて開催されます。
いつも温暖で南国のようなその街は、アメリカでも有数の観光都市として知られ、有名なところではディズニーワールド・ユニバーサルスタジオ・ケネディ宇宙センターなどの世界規模のテーマパークが揃うなど、日本から訪れる人も少なくありません。
世界大会の会場は、ローゼンプラザというホテルのホールにて開催されます。1000人を超える観客が集まる、世界最大級の競技ヨーヨーイベントです。
私は2008年から、2011年を除いて4回参加しています。世界大会でしか会えない人もいたり、世界大会でしか見られないイベントがあったり、ヨーヨー好きにはたまらないイベントなのはもちろんなのですが、そういうことはこちらを参照してください。
【takeback】夏の思い出に世界大会はいかが?
今回私が言いたいのはそういうことでなく。
ホントのホントに楽しかったけど大変だった2009年の世界大会。記念すべき年でもありますが、忘れてはならないことも多かった年でした。
あれから4年が経ちましたが、備忘録を兼ねて、せっかくなのでここに書き留めておきます。海外旅行は十分気をつけましょうねというお話です。
全部ノンフィクション。そんなに長くないので、少しだけお付き合いください。
世界大会とか行く人の参考になれば。道中の参考ケース。
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2009年8月2日。まだ警備会社に務め、休みの取得のため毎日限界まで働いていたときでした。
再来週の8月13日~15日(現地時間)には世界大会が控えていたのですが、実はその前の週にもインターナショナルヨーヨーオープンという国際大会があり、私は前年度優勝者ということもあって、航空券と招待(決勝シード)を得ていました。
そのため8月6日には日本を発ち、現地時間7日にニューヨークに着き、11日に世界大会の会場入りというスケジュールを予定していました。
一人だけ別のチケットを手配するため、当然行きも帰りも自分一人。前の年に世界大会もアジア大会も行ってはいましたが、かといって海外経験のうすい自分にはまだまだハードルの高い話。最初のフライトからあわせて15時間近くは飛行機か空港で一人ぼっちです。とはいえ治安が悪い場所へ行くわけでもなければ、英語がまったくできないワケでもない(中学英語レベル)。少々の不安はありつつも、悠々と一人で観光できる位の気分でワクワクしていました。空港に向かう当日はあまり時間が取れないため、日に日に少しずつ準備を進め、幸いかなり余裕をもって無事完了。
持ち物をリストでチェック。最低限あれば良いもの、着替え有り。ヨーヨー有り。ストリング有り。パッド有り。ドル換金用の日本円有り。パスポート有り。チケット無し。
3ヶ月以上前に取得が常識な海外へのチケットが出発の4日前に無い。
もうこの時点で不安が半分を占めるワケですよ。自分でチケットを取得しているワケがありませんし、直前のチケットは滅茶苦茶高価か、最悪全席埋まっていることもあるワケですから、準備ほぼ万端なのに空港にすら行かない可能性が出てきました。
4月中に大会エントリーを済ませ、チケットの手配をお願いしていたのですが、すっかりと確認し忘れていたのですね。しかも名前とパスポート番号の確認のメールを返信し忘れていた期間があったりして、そりゃ取得もできませんわという期間もあったりしたワケです。
外国から無事に帰るために必要なものは命とパスポートです。しかし無事に辿りつくためには命とパスポートとチケットが要ります。最悪ヨーヨーがなくてもアメリカには行けるのにチケットがない。仕事でもそわそわするわ家でもそわそわするわ。演技本番前とかよりも嫌な汗をかく、だいぶ落ち着かない日々でした。
しかしそこは国際大会のオーガナイザー。チケットはしっかり取得してくれていました!初めて招待をされて行く大会、無事にたどり着くための一歩として、フライトスケジュールの確認をしましょう。
旅行時間:28時間5分ォ
通常の倍近い時間ですよ。自分が向かうのはアメリカであってブラジルではないのですが。しかも飛行機ってフライトの2~3時間前に到着するのが常識じゃないですか。ってことは30時間近く一人ぼっち。さっきまで雀の涙程度しか不安に思ってなかったのに数分でメーターを振り切らんばかりですよ。
しかもよく見るとこのフライト、
6日 20時25分 セントレア出発
7日 00時55分 グアム到着
7日 06時00分 グアム出発
6日 17時25分 ハワイ着
6日 19時50分 ハワイ発
7日 11時30分 ニューヨーク着(インターナショナルヨーヨーオープン会場)
と、このようにまず5時間程度のフライトのあと7日真夜中グアムに到着し、朝が来るまでやり過ごしたあと6日のハワイに行き、その後9時間40分のフライトで7日のニューヨーク到着。ドラえもんかのごとくタイムスリップしまくります。
しかも真夜中のグアム、滞在時間2時間のハワイってどうすればいいんでしょうか。桃太郎電鉄に出てくるくらいメジャーな観光地なのに何も観光できません。生殺しです。
帰りも見てください。
18日 09時00分 オーランド発(世界大会会場)
18日 10時18分 ヒューストン着
18日 10時50分 ヒューストン発
19日 14時20分 成田着
19日 15時50分 成田発
19日 20時30分 グアム着
20日 07時45分 グアム発
20日 10時30分 セントレア着
東京からまさかのグアム経由で名古屋。しかもまた夜のグアムに着くし朝になったらすぐ出発。
ちなみにこのまま予定通りに行くなら、帰りは旅行時間:36時間30分です。もう往路で樹立した記録を更新してしまいました。さらによく見るとヒューストンでの乗り換えが32分しかない。2時間が目安だと言われる乗り換え時間が32分しかない。さっきまで命とパスポートがあれば大丈夫とか言ってたのにもう無理。ここだけ最後どうなったかを先に言っちゃいますと、飛行機が1時間程度先着したのでなんとかなりました。
さすがに帰りのスケジュールまで間延びするのは苦しく、どうにかして成田で預け荷物を回収して新幹線で帰れないかと思い、航空会社の方へ電話で連絡しました。
『お電話ありがとうございます。○○航空です』
「すみません、フライトについて確認したいことがあるんですけども」
『かしこまりました。ではチケットのナンバーを読み上げて頂けますか』
「#△△です」
『ありがとうございます。確認致しました。~~、~~から~~で、ええと、よろしいでしょうか』
「ハイ。それでもう一つ確認したいんですけど、帰りの便で成田で預け荷物って引き取れますか?」
『これはこのままグアムまで行ってしまいますね…(話を進めて)ええ、そもそもこういった航路は初めて見るんですけども…』
「僕も初めてです」
どうやらそれなりに前人未到なルートのもよう。とにかく預け荷物を成田で回収するのは無理なようです。いくらかかっても良いから忘れ物として空港の人に郵便で送ってくれないかと思ったのですが、そんなことを英語で伝えれる気がするはずもなく(そもそもとてつもなく迷惑な話なので)、とりあえず無事にアメリカに着くことだけを大事に考えることに。
とにかくスケジュール通りに行けば無事に日本とアメリカを行き来できるのです。自分の怠慢を後悔しつつも、まずルートを確保できたことに感謝し(帰りは物理的に不可能なところもありますが)、いよいよ出国の日となったのでした。
8月6日は余裕をもってセントレアに。この日のために休みを一気に取得したので、空港でも万が一の無いよう早め早めに行動で。
そしたら電光掲示板に『遅延』ってハッキリ出てるじゃないですか。3時間。
2時間前に着いたから5時間待ち。いくら1時間に1本しか電車が通らない田舎に住んでても5時間を一人で暇潰すのは相当ハードです。しかも警備員の居るスペースで練習に打ちこめるワケもなく、空港からもらったお詫びの1500円分お食事クーポン券で牛すじの土手煮とご飯を食べてゲームするしかないんです。
(※愛知ではミソ煮のことを土手煮と言います)
買い物が好きな方でも、セントレアはそこまで大きな空港ではないので、レパートリーがガッツリあるかといえばそうではありません。少くとも私は5時間あれば[ご飯→仮眠→買い物→ゲーム]セットを3周はできてしまいます。
出だしから折れそうな気持ちをなんとか堪えさせて、時に食べつつ時に寝つつグアムへの飛行機を待ちます。この時、世界大会で使う曲でイメージトレーニングをするのが本当は一番いいんでしょうが、アメリカに着けばイヤでもヨーヨー振りながらずっと聴きっぱなしになる曲を聴き続ける度胸は、私にはありませんでした。むしろ延々とまったく関係ない曲を流しつづけていました。あとから聞いた話だと、フリースタイル前には「気分を落ち着ける曲」をあえてセレクトして聴く人も居るそうなので、もしよければ試してみてください。
さすがに5時間前に準備が整っていたので、1本目のフライトはクリアー。人生初めてのグアム到着です。真夜中ですけど。
3時間の遅延もあり、朝日が昇るか昇らないかくらいの時間だったかと思います。一応ホントはここで6時間待ちだったのが2時間待ちになったので、このときは逆に気が少しラクになっていました。
「スミマセーン!」
カタコトの日本語で遠くから話しかけてくる人が一人。空港の中ではどこに行くんですかと伺いつつ、ぼったくりな値段で客を乗せる個人タクシーの営業が横行しています。とくに日本人はターゲットにされやすいというのは、いくらチケットの確認を疎かにしていた私であっても知っているんです。
タクシーにせよ押し売りにせよ、こういうのはスルーが一番。そもそも外でゆっくりする時間もありませんし、日本人じゃありませんオーラを出そうとしつつ税関と手荷物検査を通過した私は、そそくさと乗り換えへと足を運ぶのでした。
「キドサーン!キドサーン!パスポート忘レてマス!!」
アブネー!!!
だいぶ余裕ぶっこいてましたが早速滑り込みセーフ。キドサンだなんていうから思わず振り向いてしまいましたが、手荷物検査でパスポートを置いていった私を追いかけてくれた職員さんでした。何があっても空港の職員さんはスルーしちゃいけませんよ。あとグアムの職員さんって日本語もお上手なんですね。
振り向いて御礼を言ってるときは「あ、すみません」くらいで平静を装っていましたが内心は心臓バクンバクン。
とにかく損傷もなく返ってきたことを確認して、今度はハワイへと飛びます。
こんなフライトスケジュールの私を空港の人はなんて思っていたのでしょうか。(自分調べで)日本人に対する知名度の高い絵に描いたような観光地を高速で渡り歩く日本人。しかもチケットの値段は遠回りしたからといって決して安い値段でもないんですよ。別になんとも思ってなかったでしょうけど、チケット代だけでなんとか観光地を渡り歩こうとするせせこましい人と見られていた可能性を考えると少し泣けてきます。観光できないし。
ハワイへのフライトは問題なく定刻通り到着し、グアムよりもさらに日本人が多いエリアなのでさほど不安もなかったのですが、またそうやって油断してたら空港内で迷子になりました。
迷子になったのなんて小学校4年生くらいのときに実家近くの鈴鹿サーキットの遊園地以来です。というのも、これまで乗り継ぎは空港の中ですべて済んでいて、そのせいか乗り継ぎの間は空港の外へは出られないという頭だったんです。しかしここでは手荷物を回収し預けなおして、いったん外に出てから再度入場してゲートを通るという(たぶん自分の順路の見忘れによって)ルートで乗り継ぐことになりました。だから手荷物預けて空港の中のレストランでくつろごうと思ったら、いつのまにか燦々と太陽光ふりそそぐヤシの木の下に居たらそりゃ焦るでしょ。
とにかく辺りを歩きまくってそれっぽいゲートを見つけたあと、最終的にはカートを預けた職員さんに「私のチケット(予定)ってこんな感じなんだけど荷物大丈夫だったんですか」とおそるおそる聞いてOKって言ってもらって、とりあえずゲートを通って中で落ち着いたワケですが、それでもニューヨークまで本当に自分の荷物が運ばれるのかというハラハラ感という素晴らしいオプションが付くことになりました。
これについてもオチを言っておきますと、ちゃんと荷物はニューヨークで確保できたんですが、荷物を預けるときは必ずチケットとパスポートを確認してもらってから預けましょう(ふつう確認されるんですけど)という教訓を得ました。
そんなこんなで2時間のハワイ滞在が終わり。ちなみにここまででセントレアを発ってから18時間経過してます。一般的なルートならもう着いてる。ちなみにお分かりと思いますが、身内同士では一番最初に出発して一番最後に到着するスケジュールです。
ここから10時間弱のフライトでニューヨークまでひとっ飛び。ようやくアメリカ本土へ。こちらも遅延なくトラブルなくたどり着きました。
ちなみにここまで飛行機で何をしていたかというと[好きな曲を聴きながら眠る→起きる→ゲーム]を延々とループしていました。散弾祭りでキリンの素材が貯まる貯まる。このためにPSPの予備バッテリー用に単三電池を12本確保した甲斐がありました。そのうち4本しか使いませんでしたけど。
しかしここまで来たらもうタクシー乗り場に向かうだけです。住所はメモしてきたし、預け荷物も無事確保できました。腹ごなしもしたかったのですが、せっかくだから久々のニューヨークの街中で食べたい!なにより早く日本人でも現地の方でもいいから知り合いに会って安心したかった。
「ねえ君!ニューヨークに行くのかい」(※到着したニューアーク空港はニュージャージー州)
「そうだよ!」
「7ドル(700円くらい)で乗せてくよ!どうだい」
「マジで!じゃあお願い!」
ニューヨーク到着早々、幸先が良かったのでしょうか、ノリの良いお兄さんのタクシーに乗せてもらうことに。
慣れない英語でも頑張って聞いて会話してくれる紳士な人でした。
「(乗車後)ところでホントに7ドルなの?」
「いいや。70ドル(7000円くらい)だ」
ンゲー
絶対「セブン」って言った!でもいま明らかに「セブンティ」って言った!なんかもうバラモス倒してエンディングだと思ったらゾーマが出てきた感じ。グアムでの出来事があったからすっかり呼び込みに抵抗が無くなってたよ。完成度の高い罠ですね。
しかもこの人の話おもしれー。俺でも聞き取れるやさしい英語で走りながらいろいろ教えてくれたから相場60ドルのとこ結局高速代とチップあわせて90ドルくらい払っちゃったけどなんかイイ思い出みたいになっちゃった。もうイケメンだこの人。4年も経ったから話してくれたことは忘れちゃった。
んで腰につけてるヨーヨーくれってなんだよ。あげたら運賃値下げしてくれんのかよ。しかもこれ去年の世界大会でヨーヨーファクトリーの人からもらった貴重な初期型のグラインドマシーンだからあげられんのよ。
とか大人の階段を昇りつつ無事会場の予選が行われているビルへ到着。
降りる時にニューヨークオープンのことは伝えたつもりでしたが、来てくれたかどうかは不明です。元気かなお兄さん。
あとあと聞いた話だと、英語が堪能な方はあえて個人タクシー(通称「白タク」だとか)に乗って相場より値引いたりするそうです。強者でない方はおとなしく空港正規のタクシー乗り場に行きましょう。まあ、ぼったくられても日本のタクシーと比べると断然安かったりするので複雑なんですが……。
それでもまあ、無事に着いたんで良しとしましょうか。
「(先着していた日本人Tさん)お疲れ様ー!一人だったんでしょ?よくちゃんと来れたね!」
「なんとか(は)なりました」
今では笑って話せる思い出。皆さんメールの返信とチケットの取得はお早めに(それか高くても難易度の低い単純な航路に)。
ちなみに帰りは預け荷物を兄と友人に分けて託し、世界大会のトロフィーが入った大きなダンボールとバックパックのみで成田から新幹線で帰りました。預け荷物もなしに無機質なダンボールを抱えて飛行機に乗るというのは、今考えたらなかなか勇気のある話というか、周りの人に不審な目で見られていなかったかどうかだけが心残りです。
(飛行機の)ご利用は計画的に。
文: 城戸慎也
http://yoyonews.jp/column/
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